先日、あるドイツ語で書かれた日本に関する論文を読んでいました。
内容そのものも興味深かったのですが、本文を読み始める前に、タイトルで手が止まりました。
そこには、こんな表現が書かれていたのです。
… im Land der aufgehenden Sonne
直訳すると、「太陽が昇る国で」。
もちろん、日本のことです。
推古天皇が隋の煬帝に宛てたとされる国書の一節、「日出づる処の天子」を思い出す言葉ですね。
もちろん、「Japan」と書くこともできたはずです。
それでも、この論文のタイトルに用いられていたのは das Land der aufgehenden Sonne。
論文のタイトルでありながら、どこか文学作品のような響きがあります。
今回は、この表現を辞書で調べてみることにしました。
中心になる動詞は aufgehen(昇る)。
Dudenを開くと、最初に載っていた意味は、次の通り。
am Horizont erscheinen
(地平線に姿を現す)
例文もそのままです。
・Der Mond, die Sonne ist aufgegangen.
(月、太陽が昇った)・das Land der aufgehenden Sonne (Japan)
二つ目の例文は、今回取り上げたタイトルそのもので、括弧つきで日本とまで書いてあります。
どうやら、この表現は辞書にも掲載されるほど定着した言い回しのようです。
冒頭で「文学作品のような響き」と書きましたが、ドイツ語では日本を表す表現として広く知られているのかもしれません。
ここで気になったのが、aufgehendenという形でした。
調べてみると、これは現在分詞です。
つまり、「昇った太陽」ではなく、「昇りつつある太陽」。
英語の the rising sun と同じ発想でしょうか。
「日出づる国」という日本語にも、どこか通じるものがあります。
ところで、冒頭でも触れた「日出づる処の天子」は、ドイツ語ではどのように表現されているのでしょうか。
日本文化を紹介するドイツ語のサイトを読んでみると、「日出づる処の天子」は、
Der Kaiser des Landes, in dem die Sonne aufgeht
と紹介されていました。
直訳すると、「太陽が昇る国の皇帝」です。
ここでは、das Land, in dem die Sonne aufgehtという関係節を使って、「太陽が昇る国」と説明していますね。
なるほど、こういう言い方になるのですね。
……あれ。
ドイツ語の論文を読むつもりが、気がつけば日本史の話になっていました。
ドイツ語を通して、自国の歴史を振り返る(!?)というのも、悪くないかもしれません。
出典・参考資料
- Duden Online「aufgehen」
- Japan Experience「Japan, Land der aufgehenden Sonne: Herkunft und Bedeutung dieses Spitznamens」

