森永製菓のホームページで、ドイツの文豪ゲーテが大のチョコレートファンだったという話を読みました。
ゲーテといえば『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』。
そんなゲーテがチョコレート好きだったとは、ちょっと意外です。
ちなみに、ドイツ語でチョコレートは Schokolade。
気になって調べてみると、ゲーテ本人の書簡にもチョコレートが登場していました。
- 1808年:旅行に出る際、チョコレートを少し持っていくと妻に書く
- 1809年:イェーナから「1ポンドのチョコレートを持ってきてほしい」と妻に頼む
ゲーテにとって、チョコレートはかなり身近なものだったようです。
妻への手紙にこんなふうにチョコレートが出てくるなんて、なんだか私の両親のやりとりを見ているみたいで、少し微笑ましい。
さらに面白い記録がありました。
アウグスト・ザウアーが1904年に発表した、ウルリーケ・フォン・レヴェッツォウの回想を収めた資料です。
そこには、1822年のマリーエンバート(現在のチェコ)での出来事が記されています。
ゲーテは石の間に、「1 Pfund Wiener Schokolade(1ポンドのウィーンのチョコレート)」を置いていました。
ウルリーケは後年、これは石に興味を持てなかった自分への冗談だったと振り返っています。
石がだめなら、チョコレートはどうだ。
……そんなところだったのでしょうか。
しかも、そのチョコレートには二行の詩が添えられていました。
Genieß das auf deine eigne Weise,
Wo nicht als Trank, doch als geliebte Speise.(これはあなたの好きなように味わって。
飲み物としてでなくても、おいしい食べ物として)
Trank は「飲み物」、Speise は「食べ物」。
しかも Weise / Speise で韻を踏んでいます。
現在のDudenでも、Schokolade には「食べるもの」と「飲むもの」の両方の意味が載っています。
ただ、今回調べた範囲では、1822年当時のチョコレートがどんなもので、ゲーテが実際にどのように食べたり飲んだりしていたのかまではわかりませんでした。
現代のチョコレートやホットチョコレートを、そのまま想像してよいものなのかなぁ。
それにしても、ゲーテが贈ったというWiener Schokolade(ウィーンのチョコレート)、響きを聞いただけでおいしそう。
どうしても、ウィーン銘菓のザッハトルテを思い浮かべてしまいます。
ゲーテと聞くと、少し構えてしまいます。
でも、書簡を読んでみると、チョコレートを持って旅に出たり、妻に1ポンド分のチョコレートを頼んだり。
さらにウルリーケの回想には、石の間にチョコレートを置くという冗談まで出てきました。
世界的な文豪にも、食べ物をめぐるこんな日常があったんですね。
少しだけ、ゲーテに親近感がわきました。
出典・参考資料
- 森永製菓株式会社「チョコレートの大ファンだった文豪は? | よむココア」
- Duden Online「Schokolade」
- Projekt Gutenberg「Briefwechsel mit seiner Frau. Band 2 von Johann Wolfgang von Goethe」Nr. 427(Karlsbad, 19. August 1808)/Nr. 449(Jena, 9. Juni 1809)
- WELT「Als Goethe sich zu spät verliebte」
- Heidelberg University「Ulrike von Levetzow und ihre Erinnerungen an Goethe: zur hundertsten Wiederkehr ihres Geburtstages (4. Februar 1904)」Sauer, August; Levetzow, Ulrike [Honoree]
