最近、室内楽を聴くようになりました。
いやぁ、いいですね、室内楽!
これ以上の感想を音楽的に言語化する能力がないので、ここまでにしておきます。
さて、「室内楽」はドイツ語で Kammermusik というそうで。
Kammer には「小部屋」、Musik には「音楽」という意味があります。
では、「小部屋の音楽」ということでしょうか?
ドイツ語辞典Dudenで語源を確認すると、Kammermusikはイタリア語 musica da camera の翻訳借用で、もともとは「君主の居室で演奏された音楽」という意味だったそうです。
それが今や、私まで「いいですね!」などと言っているのですから、ありがたい時代です。
ところで。
Kammer=部屋。
……あれ?
ドイツ語で「部屋」って、Zimmerじゃなかったっけ。
なぜZimmerを知っているのかというと、好きな作曲家にハンス・ジマーという方がいるからです。
Hans Zimmer。
「ハンス・ジマー」の名前で世界的に知られていますが、ドイツの方なのでドイツ語では「ハンス・ツィマー」に近い発音になります。
Er hat die Musik zu diesen Filmen komponiert.(突然のドイツ語作文)
(彼はこれらの映画の音楽を作曲しました)
・『ライオン・キング』
・『グラディエーター』
・『ラスト サムライ』
・『インセプション』
・『インターステラー』
以前、ジマー氏について調べていたとき、ドイツ語のZimmerには「部屋」という意味があると知ったんですよね。
では、KammerとZimmerは何が違うのでしょうか?
Dudenを見てみると、
- Zimmer:人がそこで過ごすための、住宅や家屋の中の一つの部屋
- Kammer:部屋を指す用法では、古くは小さく簡素な寝室、現在では物を置くための小部屋など
どうやら、同じ「部屋」でも少し違うようです。
語源も調べてみました。
- Zimmer:古高ドイツ語 zimbar に遡り、もともとは「建築・建築用木材」に関係する言葉
- Kammer:ラテン語 camera「丸天井、丸天井のある部屋」に由来し、さらにギリシャ語 kamára に遡る言葉
「-mmer」で終わる響きは似ていますが、語源はまったく違いました。
さらに、手元の『アポロン独和辞典』には、「部屋」にあたる語がこんなふうに整理されています。
- das Zimmer:人が住む家やアパートの中の「部屋」
- die Stube:やや古い語で、質素な設備の「部屋」
- die Kammer:納戸や物置のような、簡素で小さい付属的な「部屋」
- der Raum:壁で仕切られた空間としての「部屋」
日本語では同じ「部屋」と訳せても、ドイツ語ではそれぞれの語が持つ意味や使われ方が少しずつ違うんですね。
室内楽を聴いていただけなのに、ハンス・ジマーの名前を経由して、「部屋」を意味するいろいろなドイツ語にたどり着きました。
Kammermusik。
一語目のKammerを調べただけで、ずいぶん遠くまで来てしまいました。
Musikについて調べるのは、また今度にします。
出典・参考資料
- Duden Online 「Kammermusik」、「Kammer」、「Zimmer」
- 根本道也ほか編集・執筆『アポロン独和辞典』第5版、同学社、1998年2月
