2025年のTOEIC Listening & Reading Testの国・地域別平均スコアを見て、思わず二度見しました。
ドイツは851点、日本は564点。
最初に思ったのは、「ドイツの人は英語が得意なんだな」ということでした。
実際、ドイツ語と英語はどちらもゲルマン語派です。単語や文の仕組みに共通点が多く、英語にはドイツ語ほど複雑な格変化や形容詞語尾の変化、動詞の語順の変化は残っていません。
ドイツ語を勉強していると、「ドイツ語話者は英語を学びやすいのでは」と感じることもしばしばあります。
………しかし、ここで結論を出してしまうのは早そうです。
国によって、TOEICを受験する人や受験する目的は大きく異なります。
つまり、この数字だけで「ドイツの人は英語が得意だ」と言い切ることはできません。
ドイツでは、英語を日常的に使う学生や会社員が多く受験しているのかもしれません。
一方、日本ではどうでしょう。
会社から突然TOEICの受験を命じられ、事情を飲み込めないままシャープペンシルを握りしめてマークシートに向かった人も、きっと含まれています。
少なくとも、私が勤めていた会社ではそうでした。
英語にまったく関心のない課長も、会社の方針で泣く泣く受験していました。
ここで思い出したのは、大学時代に知り合った韓国からの留学生の方です。
「韓国では英語ができないと困る」
そんなふうに話していました。
私には、「より年収の高い仕事に就くためにも英語が必要」という文脈で話しているように聞こえました。
実際、今回の統計でも韓国は682点と、日本より100点以上高くなっています。
社会によって、英語が求められる場面は大きく異なるのだと思います。
一方、日本では、英語ができれば便利ですが、日本語だけでも行政手続きから買い物、本やテレビまで、生活のほとんどが成り立ちます。
世界中の情報も、少し待てば日本語で読めることが少なくありません。
そう考えると、日本の564点という数字は、「英語が苦手」というより、「日本語だけで社会が回る」という環境を映しているようにも、私には思えました。
ドイツの851点を見て、最初は「すごい」と思いました。
でも最後に印象に残ったのは、日本語だけでも社会生活の多くが成り立つということでした。
そんなことを考えている私の机の上には、今日もドイツ語の教科書があります。
今日も私は、「ein guter Mensch」の格変化を前に、静かに思考を停止するのでした。
出典・参考資料
- IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会) 公式サイト「2025年TOEIC® Tests 世界の国・地域別平均スコア発表」
