私はヴィオラが好きです。
とはいえ、自分で弾けるわけでも、音楽に詳しいわけでもありません。聴くのが好きです。
中でもよく聴いているのが、ブラームスのヴィオラ・ソナタ第1番 作品120。
手元にヴィオラ奏者ヴィルフリート・シュトレーレ(Wilfried Strehle)氏のCDがあり、そこにもこの作品が収録されています。
ある日、この作品120について調べていたところ、イギリスの弦楽器専門誌The Stradに 「Brahms: the viola’s champion」 という記事があることを知りました。
この記事によると、もともと作品120の2曲はクラリネット・ソナタとして書かれ、ブラームス自身によるヴィオラ版も作られたとのこと。
そして、ブラームスはそのヴィオラ版について懸念を抱いていたことを、親友ヨーゼフ・ヨアヒムへの手紙に書いている、という趣旨の内容も述べられています。
そこで、ふと思いました。
ブラームスの手紙って、一般人でも読めるの?
19世紀の大作曲家の手紙です。
研究者がどこかの資料館へ行って、閲覧の手続きをして読むような世界を想像します。
一般人が自宅のパソコンから、
「ブラームスさん、何て書いたのかな」
で読める。
……わけないよなぁ。
読めました。
ブラームスとヨアヒムの往復書簡を収録した1908年刊の書簡集が、Internet Archiveというサイトで公開されていました。
今回見つけたのは、ブラームスの自筆書簡そのものではなく、後年刊行された往復書簡集です。
それでも、100年以上前の本を自宅で開くことができます。
すごい。
これならThe Stradに引用されていた文章を、ドイツ語で確認できます。
さっそくPDFを開きました。
読める……わけないよなぁ。
文字が妙に角張っていて、装飾的です。
アニメ『銀河英雄伝説』でもときどき見かけた、あの雰囲気の活字です。
資料にはたどり着いた。
しかし、読めません。
ドイツ語以前に、アルファベットを判別するのも大変です。
ところが。
試しにPDF上の文章を選択してコピーし、いつもの画面に貼り付けてみました。
Ich käme dann auch, würde entweder Mühlfeld dazu laden oder eine Oratschenstimme mitbringen……
読めた!
見慣れたアルファベットで出てきました。
どうやらPDFには文字情報も付いていて、コピーするとテキストとして取り出せるようです。
ただし、ところどころ読み取りの間違いもありました。
たとえば、コピーして取り出した上のテキストでは「Oratschenstimme」となっていますが、元のPDFと見比べると「Bratschenstimme」ですね。
そこで、コピーした文章を手がかりに、気になるところは元のPDFと見比べながら読むことにしました。
19世紀の大作曲家の書簡。
一般人には読めるわけない。
読めた。正確には、アクセスできた。
100年以上前の、古めかしい活字。
私には読めるわけない。
まぁ、なんとか読めそう……?
では、そこに何が書いてあったのか。
まずは、この装飾的な活字と見比べながら、気長に読んでみようと思います。
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出典・参考資料
- The Strad「Brahms: the viola’s champion」
- Internet Archive「Johannes Brahms im Briefwechsel mit Joseph Joachim」(Andreas Moser編、1908年)
