映画『ショーシャンクの空に』。
殺人罪で終身刑を言い渡された銀行員アンディが、ショーシャンク刑務所で長い年月を過ごしながら、希望を失わず生きていく物語です。
※本記事では映画『ショーシャンクの空に』の内容に触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
この自由と希望を感じさせる邦題が、私はとても好きです。
原題は The Shawshank Redemption。
Redemptionは「救済」、「贖罪」、「償還」などを意味します。
では、ドイツ語版はというと、
Die Verurteilten(有罪判決を受けた者たち)
単に「囚人」というより、判決を受けたことに焦点を当てたタイトルです。
この題を聞いてまず思い出したのは、映画冒頭、無実のアンディが有罪判決を受ける場面でした。
Die Verurteiltenという言葉を、意味と形のつながりからたどってみます。
- Verurteilte:有罪判決を受けた者
- verurteilen:有罪判決を下す
- urteilen:判断する、判決を下す
- Urteil:判決、判断、評価
タイトルから遡ると、Urteil にたどり着きました。
Urteilに着目すると、この映画にはいくつもの「判決」や「判断」があったことを思い出します。
物語のもう一人の主人公、レッドもアンディと同じように有罪判決を受けています。
レッドが刑務所の中では自分なりの役割を持って生きていることは、映画の中では繰り返し描かれます。
けれど、外に出られるかどうかという人生の大きな局面においては、長い間、他者の判断を仰ぐ側にいます。
そういえば、冒頭、アンディが有罪判決を受けた場面の後は、レッドが「仮釈放不可」の判断を受ける場面が映されますね。
その一方で、長い収監生活の末、ブルックスは「自分は外の世界では生きられない」と感じ、レッドも「希望は危険だ」と考えるようになります。
他人から下された判決や評価が、いつしか自分自身についての判断にまで入り込んでいるように、私には見えるのです。
けれどアンディは、自分の未来まで誰かに決めさせません。
もちろん彼は冤罪なので、他の受刑者とは事情が異なります。それでも、無実のまま長い刑期を言い渡され、過酷な刑務所生活を送りながら、最後まで希望を捨てず、ジワタネホを夢見て、ついに自由を得る。
そして最後には、レッドも他者の判断を待つのではなく、自分で決め、自分の足で未来へ向かい、自由と希望を語ります。
Die Verurteilten がどんな意図でつけられた題なのかはわかりません。
ただ、そこに含まれる Urteilという単語が意味する「判決」と「判断」に目を向けてみると、この映画が描く希望が少し違って見えてきました。
自分の未来まで、判決済みだと思わないこと。
それが、この映画で描かれる希望の一面なのかもしれません。
……少々、深読みが過ぎるでしょうか。
とはいえ、私はやっぱり邦題の『ショーシャンクの空に』が好きです。
出典・参考資料
- Duden Online 「verurteilen」、「Urteil」、「urteilen」
- 根本道也ほか編集・執筆『アポロン独和辞典』第5版、同学社、1998年2月