先日の記事にも書いた通り、岩手旅行の予習をしています。
盛岡とドイツのつながりを調べていて気になったのが、ベアレン醸造所です。
ベアレンでは、100年以上前にドイツから運ばれた醸造設備が、現在も使われています。
公式サイトに残る創業準備期の記録によると、創業メンバーは中古の醸造設備を探すためドイツへ向かいました。
そこで訪れたのが、1852年創業の「ゾンネン醸造所」。
ゾンネン。
この綴り、もしかして Sonnen?
ドイツ語で「太陽」は Sonne です。
複合語では、Sonnen- という形で単語の頭に現れることがあります。たとえば Sonnenlicht(太陽光)、Sonnenaufgang(日の出)などです。
そういえば以前、日本を表す das Land der aufgehenden Sonne という言葉を調べたことがありました。
● 関連記事:【ドイツ語で見る日本】「das Land der aufgehenden Sonne」とは?日本を表現する美しいドイツ語表現
直訳すれば「昇る太陽の国」。日出づる国、日本です。
……ということは、
Sonnen醸造所の設備が、das Land der aufgehenden Sonneへ?
なんだか出来すぎているような。
そこでドイツ側の資料もたどってみると、この「ゾンネン醸造所」は、ドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州のインネリンゲンにあった Sonnenbrauerei (ゾンネン醸造所)だと確認できました。
現地の記事によれば、ゾンネン醸造所の醸造設備は1990年代末に解体され、日本へ運ばれました。
さらに地域紙の記事では、作業員が釜や瓶詰め設備などをインネリンゲンで解体し、日本で再び組み立てたことも伝えられています。
別の現地記事には、醸造釜が日本へ売却されたとも書かれていました。
その古い釜で造られているのが、ベアレンのビールです。
日本側の記録を追っていたら、ドイツ側にも「あの設備のその後」が残っていたわけです。
さらに面白かったのが、Sonnenbrauereiを営んでいたマイヤー(Maier)家です。
ゾンネン醸造所の最後の経営者だったエヴァルト・マイヤー(Ewald Maier)氏の両親は、かつて „Zur Sonne“ という飲食店を営んでいたこともわかりました。
Zur Sonne。
またSonneが出てきました。直訳すれば「太陽へ」といったところでしょうか。
ただし、この屋号とゾンネン醸造所という名前に歴史的な関係があるのかは、今回確認できませんでした。
なので、ここから先は想像で埋めないことにします。
Sonnenbrauereiから、das Land der aufgehenden Sonneへ。
そこに歴史的なつながりがあるわけではありません。私があとから見つけた、ただの言葉の偶然です。
ただ、以前調べたドイツ語の「太陽」に、岩手旅行の予習中にこんなところで再会するとは思わず、ちょっと嬉しい。
ドイツ語の先生の「感情と一緒に単語を覚えると、頭に定着しますよ」という言葉を思い出します。
Sonne(太陽)もBrauerei(醸造所)も、もう忘れない気がします。
● 関連記事:「岩手とドイツ」の記事一覧
出典・参考資料
- ベアレン醸造所ホームページ「設備の買い付け -1-」、「設備の買い付け -2-」、「About Baeren Brewery」
- inneringen.de「Aus dem Urhellkessel kommt jetzt Bären-Bier」、「Getränkemarkt in neuer Hand」、「Sonnenbräu-Museum lockt auch auswärtige Gäste auf die Alb」
- SWR2「”Die Panzer kamen vom Schwarzwald her” Das Ende des Zweiten Weltkriegs auf der Schwäbischen Alb」
- Schwäbische.de「Neuester Coup des Sonnenbräu-Museums ist ein Podcast」
