今度、岩手県へ旅行することになりました。盛岡、花巻、滝沢を回る予定です。
とはいえ、今回の主な目的は親戚の集まり。自由に観光できる時間は、それほど多くありません。
それでも、せっかく岩手まで行くのなら。
どこか一か所くらい、ドイツにゆかりのある場所へ行けないだろうか。
そんなことを考えて、旅行前に少し調べてみることにしました。
まず盛岡。ここはわかりやすい。
盛岡生まれの新渡戸稲造は、ドイツにも留学しています。
よし。ひとつ見つかった。
これで十分だろうと思ったのですが、宿泊予定のホテルが原敬の別邸跡に建っていることを思い出しました。
原敬とドイツ……何かあるのでしょうか。
試しに『原敬全集』で「ドイツ」を検索してみると、かなりの数の記述が出てきました。
しかも原敬は、ヴェルサイユ条約が調印された大正8年(1919年)当時の日本の首相です。このときの敗戦国はドイツ。
……これは軽々に触れない方がよさそう。
そして盛岡には、ベアレン醸造所があります。こちらは、かなり直接的にドイツへつながりました。
ベアレンは創業準備にあたり、ドイツから古い醸造設備を買い付けています。
その際、仕込釜などの設備を購入したのが、南ドイツのゾンネン醸造所でした。
古いドイツの醸造設備が海を渡って、盛岡へ。これは実際に見てみたいけど、さすがに時間的に工場見学は難しいから、自分用のお土産に検討かなぁ。
さて、花巻へ移ると、今度は宮沢賢治です。
賢治は学生時代にドイツ語講習を受けています。
宿泊予定の花巻温泉には、賢治が設計した日時計花壇もあります。
日時計そのものにドイツとの関係があるわけではありませんが、これも楽しみです。
さらに、花巻に本社を置く食品会社・銀河フーズ。
ソーセージやハムなどを製造しており、ドイツ農業協会(DLG)が主催する食品の品質競技会にも商品を出品し、受賞を重ねています。
人をたどってもドイツ。食べ物をたどってもドイツ。
そして滝沢について調べていると、今度は馬からドイツへつなぐ研究が出てきました。
滝沢は、チャグチャグ馬コの出発地。
チャグチャグ馬コは、装束をまとった農用馬が、滝沢市の鬼越蒼前神社から盛岡市の盛岡八幡宮まで約14kmを練り歩く伝統行事です。
このチャグチャグ馬コに代表される岩手の馬文化と宮沢賢治の「ケンタウル祭」、さらにドイツ語・ドイツ文化との関係を論じた研究もあります。
気になって論文を全文読んでみたところ、非常に興味深い内容で……『銀河鉄道の夜』、読み直そうかなぁと思ったほど。
特に、宮沢賢治が思っていた以上にドイツ語と関わっていたことを知ると、急に親近感が湧きました。
私は最初、「岩手でドイツと縁のあるところを一か所くらい探そう」と思っていただけなのです。
それなのに今のところ、新渡戸稲造、宮沢賢治、ビール、ソーセージ、そして馬。
考えてみれば、日本とドイツの交流は160年以上。
明治以降、日本がドイツからさまざまな分野で学んできた歴史を思えば、探してみると各地に接点が見つかること自体は、それほど不思議ではないのかもしれません。
それでも今回の岩手旅行、予想していた以上にあちこちでドイツにぶつかりそうです。
自由時間、確実に足りない。
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出典・参考資料
- 盛岡市ホームページ「新渡戸稲造(にとべいなぞう)」
- 『原敬全集』上巻,原敬全集刊行会,昭和4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1272324 (参照 2026-09-09)
- 『原敬全集』下巻,原敬全集刊行会,昭和4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1272357 (参照 2026-09-09)
- 国立公文書館ホームページ「大正8年(1919)6月|ベルサイユ条約が調印される」
- アートホテル盛岡公式ホームページ「日本料理「介寿荘」|レストラン」
- ベアレン醸造所ホームページ「設備の買い付け-1」、「設備の買い付け-2」
- 花巻市ホームページ「宮沢賢治の年譜」
- 岩手県花巻温泉公式ホームページ「館内案内」
- 銀河フーズホームページ「会社概要」
- チャグチャグ馬コ保存会公式ホームページ
- 岩手県立大学機関リポジトリ 米地文夫・Uwe Richter「宮沢賢治が創った『ケンタウル祭』の由来と意義――短歌や『銀河鉄道の夜』とドイツ語・ドイツ文化との関わりをめぐって」『総合政策』11巻1号
- 在ドイツ日本国大使館ホームページ「日独交流160周年オープニングに際する柳大使のメッセージ」
