私にとって、伊勢神宮は特別な場所です。
私の家には、先祖が伊勢参りをした際にある偉い人と出会い、その人の助言を受けて名字を変えた、という話が伝わっています。
あくまで家に伝わる話ですが、そんなこともあって、伊勢神宮は私にとって大切な場所であり、折を見て伊勢参りをするようにしています。
さて、では伊勢神宮はドイツ語でどう紹介されているのでしょうか?
日本政府観光局(JNTO)のドイツ語版で伊勢神宮を調べてみると、ページの途中にこんな見出しがありました。
Die Seele Japans
直訳すれば、「日本の魂」。
ちょっとびっくり。というのも、先日の岩手旅行で、このドイツ語を目撃したばかりなのです。
場所は花巻市にある花巻新渡戸記念館。そこには新渡戸稲造『武士道』のドイツ語版が展示されていました。
表紙には太陽と富士山と桜が描かれ、そこに Die Seele Japans の文字。
『武士道』のドイツ語タイトルは Die Seele Japans だったのです。
伊勢神宮を調べていたら、花巻の新渡戸稲造につながってしまいました。
新渡戸稲造は伊勢参りをしたことがあるのかな、なんていう疑問を調べたい気持ちを押さえて、次に行きます。
個人的な感動を書いてみましたが、冷静に考えると、これは別に大げさな話でもありません。
JNTOの Die Seele Japans は、伊勢神宮そのもののドイツ語訳や固有の呼び名ではなく、伊勢神宮を紹介するページの見出しです。
また、JNTOの英語版にも The soul of Japan (日本の魂)という見出しがあります。
そして、伊勢神宮のホームページでは神道と伊勢神宮を英語で紹介する資料を公開していますが、そのタイトルもまた「Soul of Japan」です。
一方、新渡戸の英語原著も Bushido: The Soul of Japan。
いずれも英語では「日本の魂」を意味するシンプルな表現なのです。
つまり、英語の The Soul of Japan にあたるドイツ語 Die Seele Japans を、私が伊勢と花巻の二か所でたまたま見つけただけ、なのです。
と言うと身も蓋もないのですが、私にはこの偶然がなんとなく腑に落ちるところがあります。
日々の生活を送る中で、ふとした瞬間に神道につながる感覚や、武士道を思わせる精神に触れることがあります。
そんなとき、私は自分が日本人なのだと改めて意識したり、日本人としてこうありたい、まだまだだな、と思ったりします。
さて、さきほど取り上げた二つの Die Seele Japans 。
一方は、天照大神をお祀りする伊勢神宮。もう一方は、新渡戸稲造が外国に向けて武士道を紹介した本。
この二つは明確に異なるものではありますが、どちらにも「日本の魂」を意味する外国語が現れたことを知って、私は少し納得したのでした。
外国語で日本について調べていたら、自分にとっての「日本」が少し見えてきた。こんな寄り道も、たまにはいいのかもしれません。
出典・参考資料
- 日本政府観光局 (JNTO)ホームページ「Ise | Mie | Tokai | Destinations」(Deutsch / Global (English))
- 『Bushido: the soul of Japan : an exposition of Japanese thought / by Inazo Nitobe』,Shōkwabō,c1899, t.p. 2560 (1900). 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1675673 (参照 2026-10-06)
- 伊勢神宮ホームページ「SOUL of JAPAN: An Introduction to Shinto and Ise Jingu」
