つい最近、人間関係のことで思った以上に時間と気力を使うことがありました。疲れた、本当に疲れた。
相手にどう伝えればいいのか。なぜあんな言い方をしたのか。これからどうつき合えばいいのか。
そんなことを何度も考えているうちに、生活のリズムまで乱れてきました。我ながら、自分の影響されやすさが少し情けない……。
そして今日、ふと思いました。
待てよ、こんな悩み、先人も絶対苦しんでいたはずだよね。
他人のことで頭がいっぱいになり、自分の時間を失った人だって、昔からいたのでは。
そこでたどり着いたのが、古代ローマの哲学者セネカでした。
『ルキリウスへの道徳書簡』第1書簡の冒頭には、こんな言葉があります。
vindica te tibi
Richard M. Gummere の英訳では、set yourself free for your own sakeとなっており、私なりに日本語にすると、「自分自身を、自分自身のために解放せよ」といったところでしょうか。
また、セネカは、時間には
・奪われるもの
・ひそかに持ち去られるもの
・こぼれ落ちていくもの
があると書いています。
「そうそう。私の時間、それです」と思って読んでいたら、数行もしないうちに、今度は自分の不注意によって失われる時間の話が出てきました。
……ありゃま、こっちの話になりました。うーーーん、自覚あります、これ。
この箇所は人間関係だけに限った話ではありません。
でも私はここで、自分が今回直面した人間関係の問題に、これ以上どれだけ時間を渡すのかを考えました。
相手に完全にわかってもらうまで考え続けることより、必要なことを伝えたら、自分の時間へ戻る。
ドイツ語を読む。音楽を聴く。ブログを書く。
今回、私にいちばん残ったのは、そんなことでした。自分を、自分のところへ連れ戻さないと。
さて、ここでこのセネカの言葉のドイツ語訳を探してみました。
すると、August Pauly訳をもとにE. Gottweinが編集した版では、こうなっていました。
Rette Dich Dir selbst!
私なりに日本語にすると、「自分を、自分のために救い出せ!」といったところでしょうか。ラテン語はさっぱりなので、こちらの方が私にはかなり響きます。
とはいえ、すぐに自分自身を取り戻すことが難しいのも事実。
それでも、このモヤモヤから抜け出すきっかけをつかめたような気がします。
先人は偉大なり!
出典・参考資料
- Wikisource「Epistulae morales ad Lucilium/Liber I」、「Moral letters to Lucilius/Letter 1」
- navicula Bacchi「Sen.epist.1: Der richtige Umgang mit der Zeit」
